ヘルメットを選ぶ際、無視できない要件が「安全性」です。
ヘルメットの安全性については、多くの規格がありますが、
それぞれを理解することで、ヘルメット選びはスムーズになり、後悔のない選択に繋がります。
本記事では、ヘルメットの各規格についてしますので、それぞれの意味を知りたい方や、
ヘルメットの購入を検討している方は是非読んでみてください。
目次
|JIS
JISは日本産業規格(Japan Industry Standard)の意味になります。
以前は日本工業規格の意味でしたが、2019年7月から今の日本産業規格に名前が変わりました(略称はJISのまま)。
ヘルメットはJIS T 8133:乗車用ヘルメットで規定されており、
認可された製品にはJISマークが表示されます。
なお形状や構成にも要件がありますが、性能要件としては下記があります。
・耐貫通性
・保持装置(あごひも)装置の強さ
・保持性
・周辺視野
・シールド解放角
・シールド強度
|SG規格
まずSG規格とは、一般財団法人製品安全協会が審査する規格であり、認可した製品にSGマークのラベルが貼り付けられます。
SGマーク付き製品の欠陥に起因する人身障害が発生した場合は保険金が支払われます(最高限度1億円)。
安全基準としてはJISに準拠しています。
なお乗車用ヘルメットについてSGマークの有効期限は3年であり、それ以降の事故に保障はないので注意が必要です。
▼ヘルメット有効期限については下記の記事で解説しています。
|PSC(マーク)
PSCマークとは、消費生活用製品安全法が規定する特定分野の製品について、安全性基準を満足する製品に貼り付けられているラベルになります。
経済産業省が認定しており、このラベルのないヘルメットの販売は国内では違法となっています。
また安全性も十分でない可能性もある事から、購入する際はPSCマークがある製品を選ぶ事が重要です。
なお基準はJISに準拠しています。
▼ヘルメットと法律の関係は下記の記事で説明しています。
|MFJ
ヘルメットにおけるMFJとは、MFJ(財団法人 日本モーターサイクルスポーツ協会)の公認を意味しています。
MFJ主催のレースでは、MFJ公認のヘルメット使用が義務であり、ロードレース用、モトクロス用、トライアル用の公認があります。
基本的にMFJ公認はJIS規格に通ったヘルメットをMFJが公認していますが、ロード用のみ追加の耐貫通テストがあります。
▼MFJ公認のヘルメットは下記で確認できます。
MFJ公認(2017年となっているが最新版):http://www.mfj.or.jp/user/contents/motor_sports_info/authorized/2019/pdf/2017_helmet-kounin1206.pdf#zoom=75
|SNELL
SNELL(スネル)は、レーサーだったピート・スネル氏の名前が由来となっています。
スネル氏がレース中の事故で亡くなった際、ヘルメットが大きく破損し保護機能を果たさなかったことから、
保護機能を評価する基準として、スネル氏の友人たちが1957年にスネル記念財団を設立。1959年からスネル規格の運用が開始されました。
特徴としては、5年ごとに規格がより厳しくなる点、四輪や自転車等の種類がある点になります。
二輪用の規格はMであり、最新の規格はM2015になります。
テスト内容はJISに近いですが、条件はより厳しくなっており、特に耐貫通性に重きを置いていることも特徴になります。
▼AraiのHPではJISとSNELLの比較と解説があります。
Araiヘルメットガイドブック:https://www.arai.co.jp/jpn/topics/gbook/kk1c_1.html
|ECE
ECEは欧州の規格であり、国際的な規格になります。
ヘルメットの規格はUN ECE 22-05であり、認可されたヘルメットはECE 22-05のラベルが表示されています。
耐貫通性を重要視するSNELLに対し、ECEは衝撃の吸収性を重要視した規格になります。
どちらが安全、とは一概に言うことはできませんが、
認可されたヘルメットは国際的なレースでも使用可能です。
▼原文はこちら
http://www.unece.org/fileadmin/DAM/trans/main/wp29/wp29regs/r022r4e.pdf
|DOT
DOTはアメリカの運輸省が認可する規格であり、ヘルメットについてFMVSS No.218で規定されています。
認可を受けているヘルメットはDOTのマークと、その下にFMVSS No.218と書かれたラベルが表示されます。
ECEと同様、衝撃吸収性を重視した規格になります。
ECEと比較すると日本ではメジャーではなく、SIMPSONのようなアメリカのメーカー製品が認可を取っているイメージです。
|FRHPhe
FRHPheとは、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)が定めているヘルメットの規格であり、認可されていないとFIM公認のレースでは使用できません。
元々FIMはFIM RACING HOMOLOGATION PROGRAMとして、装具の公認を行っており、そのヘルメット版になります。
現在はFRHPhe-01が定められており、2019/6/3以降はMOTO GP/2/3、SBKでは認可を受けたヘルメットしか使用できず、
2020年シーズンからはFIM公認レースの全カテゴリで認可を受けたヘルメットしか使用できません。
ちなみに義務化以前は、FRHPheの他に、ECE規格、SNELL規格、JIS規格を通ったヘルメットが使用可能でした。
▼FRHPheレギュレーション原文はこちら
http://www.frhp.org/user/pages/documents/FRHPhe-01-amended2.3_web_extract.pdf
▼FRHPhe公認のメット一覧はこちら
http://www.frhp.org/circuit%20helmets/homologated-helmets
|規格以外の指標
各規格を取得しているヘルメットは、各規格の基準を満足するヘルメットとなりますが、
それぞれのヘルメットが基準に対してどの程度のマージンを有しているかは、
公開されていない為、比較ができません。
ではヘルメットの安全性を比較するにあたっては何を参考にしたら良いのでしょうか?
ヘルメットの安全性については、試験にて評価する団体として、イギリスのCRASHとオーストラリアのSHARPがあります。
これらの団体は市場に流通している製品を使用し、各メーカーのヘルメットを評価しています。
それぞれについては別の記事で解説させて頂きます。
|まとめ
各規格はヘルメットの安全基準として、ライダーのために存在すると言うことができます。
しかし、様々な規格を取得しているからと言って、絶対に安全なわけではありません。
事故の状況や環境によって、安全性は大きく左右されてしまいます。
ヘルメットの安全性は重要ですが、
安全運転や他車からの防衛運転を心がけて頂けたらと思います。
なおどの規格においても、「適切なサイズ」と「適切なフィッティング」が前提になります。
いまいち自分にベストなサイズ感がわからない方は、
一度店頭でフィッティングを確認する事をお勧めします。
店舗でのフィッティングについては下記の記事で解説しています。
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